浅葱色の約束。




「……いかないで沖田さん、」



だって行ってしまったら、朔太郎の時みたいにもう2度と沖田さんには会えないような気がする…。


沖田さんのことだから。

誰にも知られないように手紙すら送らないで、きっと姿を消してしまう。


あなたはそういう人だから。



「いかないで、」


「…梓、」


「行かないで。行っちゃ駄目だよ、行かなくていい」



その言葉を連呼する。

どうして行かないでほしいのか、その理由すら分からないまま。

そういえば前にもこんなことあったっけ。



「…なんて。これじゃあ前と全く同じだね。
…なんにも変わってない」



「嫌だ」の一点張りで意固地になってた15歳になったばかりの私とおんなじ。

16歳になった今でもこれなんだもん。

17歳、18歳になったって絶対に変わってなんかいない。


それだけはどうしてか分かるんだよ。



「“でも、決めたんでしょ”…?」



同じ言葉を返してみる。



「“私はまだ生きてるから。…土方さんのことは任せて”」



覚えてる?

沖田さん、まえ私にこう言ったんだよ。



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