浅葱色の約束。
朝に見る景色は、暗闇で見るものとはまた違う形をしていた。
中庭には池があり、そこには数匹の鯉が見えた。
渡り廊下があって、その先には数十名の男達の声がこだましている少し広めの道場がある。
外観から見たときはあまり広く見えなかったが、こうして歩いてみると思ったより大きい。
「ボケッとしてんな。蜂に刺されても知らねえぞ」
「…はち…?」
「蜂の巣、そこにあんだよ」
しかしどうにも安全とは言えない屋敷らしい。
旅館のようにも思えるが、やっぱり男の人ばかりが生活しているんだと分かる空気感が所々に駄々漏れ。
そして立ち止まった襖の前。
「近藤さん早くしてくれよ。隊士たちを待たせてるんだ」
「すまない永倉(ながくら)君。…あ、トシ!」
「全員揃ったか」
「ああ、出来るだけ俊敏に済ませたい」
ああ…わかった。
この人たちの前で処分の内容を言い付けてくるのだ。
近藤さんを信じていないわけじゃない。