浅葱色の約束。




それはつまり鎖国の世の中は終わるということ。


幕臣体制が終わり、私の生まれた時代が近付いているという証。

そんな歴史の狭間に、この荒波な時代を駆け抜けた武士と私は関わっている。


それはやっぱり今でも信じられない。


私が17歳になろうとしていた頃、すぐそこまで敵は私達を追い詰めていた。



「逃げるぞ近藤さん。ここはもう駄目だ」



逃げる───。


土方さんは「撤退」という言葉ではなく、そんな直接的な言葉を使うようになった。

力の差が大きすぎるのだ。


勢力が違いすぎる。

数も、武力も、全てがだ。



「おい、聞いてんのか近藤さん!」



それでも近藤さんはじっと座禅を組むように座って、目を閉じている。

早く逃げないとこの城にも乗り込んできてしまうのに。



「近藤さん…」



もう体力の限界なのだろうか。

ここまで何度も走っては歩いて止まることなく、ろくな睡眠すら取れず仕舞いの生活だったから。



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