浅葱色の約束。
「もう私のことは……放っておいてよ、土方さん」
もう、いいんだよ。
近藤さんに生かされた命、あなたはそれを自分の為に使わなきゃいけない。
土方さんを待ってる人がいる。
「私は土方さんが思ってるより子供じゃないんだよ」
健気に笑ってみせる。
出来るだけ声が震えないように。
「ほら…背だって伸びたし、洗濯も料理もわりと出来るの」
ほんとは料理は多分まだ出来ないけど。
屯所の女中さんが手際良くお料理してるのをいつも通りすがりに見ていたくらいで。
でも、覚えさえすればきっと。
「洗濯だって最初は出来なかったけど、新撰組でやってきて身についた。
だからお料理だって、作ってれば多分…たぶん、上手になると思うんだ」
へへっと笑ってみせる。
空回りしているような笑い声だ。
───でも。
大丈夫だから。
なんとか生きてみせるよ。
江戸に行けば近藤さんもいる。
そして、沖田さんだって。
「私が近藤さんを解放して…、必ず、土方さんの元にあの人を連れ戻してみせる」
だから土方さん、そんな顔をしないで。
「もう……放っておいて」
土方さんのそんな顔、もう見たくない。
やっぱりあのとき意地でも近藤さんを引き留めるべきだったって、私が囮になるべきだったって。
そんな後悔ばかりだよ。