浅葱色の約束。




隣に私が居なくなることを何よりも今、恐れている…?


逃れようとしても離してくれない。

それどころか力が加わる。



「だって私…、足引っ張ってばっかだよ……」


「そうだな」



即答……。
せめてそうじゃないとか気の利いたことは言えないの。

あぁそうだ。


土方さんってこういう人だった。



「土方さんの…お荷物って、兵士さん達によく言われるの…っ」


「否定はしねえな」



じゃあどうして───…。


土方さんは腕を離そうとはしない。

私が言葉を発する度に力は強まる。



「私は盾にしかなれないよ…、いつか土方さんの前に立って…銃から防ぐことしか出来ない…」



こんなふうに誰かを抱き締めるような人じゃなかった。

かつて愛した女だって容赦無く突き放してたような男だ。



「要らねえよそんなモン。お前ごときが俺を助けるだと?…なめんじゃねえっつうの」



この人は自分の道を走る人だから、目標に真っ直ぐ進む人だから。

その道を邪魔する者は容赦無く排除してしまうんだろうなって、心のどこかでずっと思ってた。


だから覚悟してた。



「近藤さんから託されたからってそこまで責任負わなくていいのに…っ、
私は1人で生きれる…、土方さんが居なくたって…生きてみせるよ」



そうやって、そう思うようにして。

あなたから離れようとしたのに。



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