浅葱色の約束。




「てめえはいつもいつも簡単に自分の命を粗末に扱いやがって。いい加減我慢ならねえんだよ」



俺が行くなと言ったらそれに従え。

俺の近くに居ろ、俺の見えるところに居ろ。

俺が命を落としたとき、そん時ゃてめえは俺の分まで生きろ───。



「…なに…それ…」



そんな身勝手なことってある…?

俺様にも程がある。
そんなの言って許されるのは土方さんくらいだ。



「…土方さん、…やっぱり鬼のままだ…」


「うるせえよ。これは副長命令じゃない。
…命令、なんかじゃねえぞ」


「…だったら、誰の言葉…?」


「───土方歳三だ。」



なのにどうして、こんなに嬉しいんだろう。

それは私がずっと言われたかった言葉。



「俺と共に来い」



私の命はこの人のもの───。

それだけで、たったそれだけなのに、それが全てに思えた。



「お前だけは……俺が必ず守ってやる。」


「……うん…」



───その数日後。


近藤 勇が江戸の処刑場にて斬首されたとの知らせが土方さんに届いた。

彼はそれでも動揺することなく、あたかも分かっていたようにただその知らせを黙って受けた。


そして私達は再び京へと向かう。



「………ぁ……ぁ………おと……さん…」



そこで絶句した光景は未だに私の頭を離れやしない。

見せしめをするかの如く近藤 勇の首は京の町に飾られ、ただ泣き喚く私の手をずっと握ってくれていたのは。


土方さんだった。








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