浅葱色の約束。




ビー玉をぎゅっと握り締め、その瞳は次に俺を捉える。

震える拳を包み込む細く暖かい掌が重なった。



「そんなわけ、ないのに…。わたし、なにも分かってなかった…」



気持ちを伝えられるようになった梓は、俺に真っ直ぐ届けてくる。



「土方さんが…一番辛いに決まってる───…」



俺の名前を呼びながら死んでいく仲間。

家族があって、子供がいて、守りたいものがあって。


それでも俺の下す命令に反論などせず。

どんなに負け戦と言われようと俺の盾になって、そして命を落としてゆく。


何度、そんなものを見てきただろう。


近藤さんだって守れなかった。
大将を差し出してまでも俺は自分を助けた。

総司に会わす顔だって無い。


一番鬼になってはいけない場所で俺は親友を見捨てたのだ。




「土方さん…こういう時は男の人だって……我慢しなくていいんだよ」




いつから、だろう。


こいつを手放せないと本能が理解を示したのは。

こいつに我慢を今までさせてきたのは俺の方だと言うのに。

お前は何ひとつ文句すら言わないで、どんなに残酷なものを見てきたとしても。


決して弱音を吐かず。


俺を追いかけて俺達を必死に守ろうとする。



「…っ、…っ…、」



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