浅葱色の約束。




折れちまうかもしれねえ。


こんなに強く握ったら、こいつの手なんざ粉々になっちまう。

それなのにただ微笑みを返してくれる。



「っ…、…っ、」



涙がその掌に落ちた。

どちらのものかなんて、どうでもいい。


───変わらねえのはお前の方だった。


いつだって強いのはお前だった。

俺に愛情をくれたのだって、お前なんだよ。



「…お前はいつも…あったけえな……」


「…土方さんの手も…あったかい…。人の掌って、あったかいんだね」



あったかくて、やさしい。

どんなに冷えた暗闇の中だってお前が伸ばしてさえくれれば、俺はすくわれる。



「次は蝦夷だね。…必ず行こうね土方さん」



どんなところかな?寒いのかな?
どんな人たちがいるのかな?

悲しみだけじゃない。
新しい地で、新しい仲間に出会う。

色んなことを知る。


見れなかった仲間の分までしっかりこの目でこの世界を見る───…



「ったく、遊びじゃねえんだぞ」



そんなふうに目を輝かせているこの女を。


初めて、



愛しいと、思った───…。



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