浅葱色の約束。




翌日の夜明けはとても快晴で、小鳥の囀りに目を開いた。

用意された服をじっと見つめ、やたらスカスカする生地に触れる。



「…本当にいいの?」


「あぁ」


「こんなに綺麗な髪なのに…」


「どうせまた放っときゃ伸びる」



洋服姿の俺を見たそいつは懐かしむ眼差しで「似合ってる」と、言った。

この格好に長い髪はおかしいだろう。


そして、これは俺の覚悟だ。


背中を靡かせていた長い髪は、パサリパサリと床へ落ちていく。



「お前に休暇を渡す」


「休暇…?どうして急に…」


「出発までまだ時間はある。…少しは戦を忘れることも必要なんじゃねえかと思ってな」



色々ありすぎた。

この2年は全てが凝縮されたような、そんなもの。


お前はもう子供なんかじゃない。


普通ならば袴なんか履かず着物を着て、好きな男と出かけるような年頃だ。



「会って来たらどうだ」



揺れる瞳が俺を見つめた。


戻って来てくれる、そう思えるからこそ俺もこいつを向かわせられるのだ。

姑息な男だとは分かっている。



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