浅葱色の約束。
それだったら静かに、誰の目に看取られることなく死んでいきたいとも思う。
初夏の風が開いた襖から髪を撫でる今日。
『沖田さん』
君はいつも大人しげにそこに立っていた。
空気を読めてしまう子だから、とても僕はそんな君に甘えていたんだと思う。
「…もう……そろそろかなぁ…」
結局、会いに行けなかった。
土方さんにも近藤さんにも会わせる顔だって無い。
どんなものにも負けを知らなかった天才剣士は、一番組の組長は。
病気にだけは勝てなかったのだ。
「……誰…?」
───カタン。
また猫が来たのだろうか。
縁側の少し先、軽い物音に体を起こそうとするけど。
もうそれすらも出来なくなった。
ただ目線だけは中庭に咲く蓮の花を見ていられるから。
「───沖田さん。」
花が、喋った。
なんて。