浅葱色の約束。
“男として”
それが土方さんに言われた言葉だった。
必ずバレるな。バレたとき、お前は本当に生きれなくなる───と。
「局長の小姓って…こんなガキにさせる方が余計なめられるだけだぜ」
「もしかして隠し子とかじゃねーよな…?」
絶対にバレてはいけない、だからこそ常に傍に置いていられる小姓という形にしてくれたのだ。
そもそも小姓ってなに…?
そんなところから始まるのだけど。
「と、時折 梓です。…よろしくお願いします…」
ペコリと頭を下げる。
なんとか紹介はされたものの、やっぱり殆どが腑に落ちない様子だった。
「…ここっていつから託児所になったんだよ土方さん」
「てめえらも昔っから試衛館に飯集りに来てただろうが」
「そ、そうだけどさ…」
託児所…ここは施設のような場所…?
信用が何もないのは当たり前。
どこの人間かも、どうして近藤さんと知り合ったのかすらも全てが謎な少女を誰が信じるというのか。
「さっそくだが梓、茶を煎れてくれるか?」
調理場へと案内されると、大きな釜戸が2つ並んでいた。
全て見たことが無い器具ばかり。
急須は見てわかったが、お湯はどうやって沸かせばいいのか分からない。