浅葱色の約束。




そんな男の子と話してみたいとも思った。

私は無理に笑顔を作ろうとして出来なかったから。


あなたはそれが出来ちゃった人。


似ているようで違うのに同じなんだよ。

おんなじなの。



「役に立つとか、そうじゃないよ沖田さん。沖田さんは人間なの、…道具じゃない」



あなたは普通の青年だった。

悪戯で優しくて、少し子供っぽくて若いお兄さん。



「…っ…ゴホッ…、……そう言ってくれるのは君と近藤さんだけだよ、…あぁ、土方さんもかな…」



もう彼に残された時間はあと少し。

命の灯火は、ふぅっと小さく吹いてしまえば簡単に消えてしまうほど。



「……また、…いこうね、…お祭り」


「…うん、行く。今度は花火見ようね」


「…また…団子の食べ放題…、行きたいなぁ…」


「ふふ、…沖田さん、店員さんをまた困らせちゃうね…っ」


「…うん、…梓……可愛かったなぁ」



彼は笑う。

とても幸せそうに笑ったその「少年」は。


「もういいよ」と言っているみたいで。

「僕はもう十分だ」って。



「…あず、さ…」



それでも懸命に私に手を伸ばしてくる。


沖田さんはいつもそうだった。

私に手を伸ばして触れようとするのに、いつも止めてしまう。


だったら、だったら今度は私が手を伸ばす。



「…やっと、───…届いた…」



あなたは1人なんかじゃない。

もう、泣かなくていいの。
独りぼっちで泣かないで。


土方さんだって近藤さんだって、いつも何かあれば出す話題は沖田さんのことなんだよ。

総司は総司はって、必ず言うの。


それがちょっとだけ羨ましかった。



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