浅葱色の約束。
「…愛されてたんだよ、」
あなたはみんなから愛されてた。
「忘れてなんか、無いんだよ」
同じ場所で笑って泣いて、同じご飯を一緒に食べて、毎日生活しているとね。
なれちゃうの、家族に。
なれちゃうんだって。
「沖田さんは───…っ!」
最後の力を振り絞るかのようだった。
私の腕を引いて胸の中に引き寄せる。
背中に回された腕はとても力強くて、耳にかかる吐息が少しだけ柔らかく笑っていた。
「…ずっと……こうしたかった…」
会いたくなかったなんて嘘。
本当はずっと君に会いたかった───…。
そう言った沖田さんの涙が私の肩へと落ちる。
「…おきた…さん、」
髪をとくように撫でる手。
この人はこんなに優しく誰かを包み込める腕を持っている。
抱き締められる優しさがある。
そのどこに人斬りと思うだろうか。
新撰組の剣、一番組組長、天才剣士。
そんなの関係ない。
この人は沖田総司という、心優しい1人の青年なのだ。
「今までも…これからも…僕は、君の涙を拭ってはあげられなかったけど……」