浅葱色の約束。




沖田さんの心臓は動いている。


トクン…、トクン…。


いま、動いている。



「それでも、君が寂しいとき、泣きたくなった、ときは……」



その音はだんだんと弱まっていって。



「…僕は必ず…、傍にいる……か…ら…」



傍にいてくれたよ。


沖田さんが大坂へと行っても、江戸へ戻っても。

いつも私の中にあなたはいた。

ずっと一緒にいたんだよ。



「…生きてるんだよ、…沖田さんはここに…生きてる…」



その細い腕を私の胸に当てる。



『生きてる、…僕は生きてるよ』



いつもあなたがしてくれたように。

生きてるよ、大丈夫だよって。


私の心臓はみんなの思いがたくさん詰まってるんだよ。




「…だい…すき……だよ…、───…梓…」



「沖田さん…っ、おきたさん…私も大好き……っ」




泣きそうな顔をして笑った彼は。


今までに無いくらいに幸せそうに、嬉しそうにゆっくりと瞼を閉じた───…。



『僕は沖田総司といいます。今日からよろしくね…梓』


『全く、どうしていつもそんなに泥だらけなの。朔に手荒なことされてないよね?』


『梓、色々我慢しちゃ駄目だよ。どうしても辛くなったらいつでも僕のところに来ていいから』



沖田 総司は誰よりも悪戯で、子供っぽくて。


そして、やさしい人。


彼の中の孤独は最後まで理解してあげられなかったかもしれない。

それでも、沖田 総司と出会えたことは私の中での幸福の1つだった。



「…おきた…さん…」



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