浅葱色の約束。




土方さんと小姓が激突、もしかしたら小姓が1人離脱するかもしれん───噂は簡単に広まった。


あれから土方さんの顔はなるべく見ないようにして。

会議に同行するときも彼の隣は鉄之助に立たせ、私は斜め後ろに立った。


そして今日も女は土方さんの部屋を訪れる。



「それでね歳三さん、その旅館のご主人ったら言うのよ」



土方さんに頼まれた資料の整理をしている私の背中、女の楽しそうな笑い声。


どうしてこういう日に限って鉄之助は留守なの。

大鳥さんにお使いを頼まれたのが私だったら良かったのに…。



「あなたみたいな綺麗な女性が独身だなんて信じられませんって。
やぁねぇ、それって遠回しに売れ残りって言ってるようなものじゃない?」



自慢話のオンパレード。

彼女は先程から自分の話しかしていない。


そんな話を聞いているのか、それともラジオ感覚でBGMにしているのか。

それともそれとも雑音として捉えているのか、土方さんは筆の動きを止めようとはしなかった。



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