浅葱色の約束。




基本小姓は使える人の傍を離れてはならない。

常に世話をして、いざというときは例えどんな状況だとしてもその人を守らなければならない。



「それが一番の仕事。だからこそ小太刀を持つのが当たり前なんだけど…」


「…こだち…?」


「そう、短い刀のこと。…まぁ君はまだ無理かな」



くすっと、沖田 総司(おきた そうじ)は笑った。


───それから毎日、洗濯をして掃除をして近藤さんの後ろをついて回って。

時には隊士達に息子だと間違われることだってあって。



「お、梓!上手に干せてるじゃないか!」


「…うん」


「総司から土産に貰った団子があるんだ、一緒に食べよう」



色んなことを教えてもらった。

知らないことを1日1日知っていって。



「あ!トシ!お前もどうだ?」


「俺が甘いモン嫌いだって知ってんだろ。ガキと食ってろガキと」


「む、梓は“せんたくき”無しで1人で袴を洗って干せるようになったんだぞ!立派じゃないか!」



その度に胸の中に湧き立つ暖かさの意味が少しずつわかって来たように思う。


嬉しい───。


単純にそんなものだった。



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