浅葱色の約束。




「梓、てめえは残れ」



そんな命令を下しても、鉄之助の袖を離そうとはしないそいつ。


…この野郎。


思わず俺は立ち上がって無理矢理にその手を離させた。

そして鉄之助へと目線で合図を送る。


そそくさと閉じられた扉。



「う、わ…あ…、」



掴んだ腕がだんだんと熱くなって、そいつの顔も真っ赤だ。

少し前からこの調子。


まさかこいつ…鉄之助に惚れてやがるのか?


そんなことを思ったら、どうにも無性に腹が立って仕方ない。



「…あいつはやめとけ」



真っ赤な顔のまま、首を傾げる梓。


俺はそんな仕草に弱いという事が最近になって分かった。

そのときだけは俺を真っ直ぐに見つめてきやがる。



「お前にゃもっと男らしい方がいいんじゃねえか」


「え…?」


「あと大鳥さんも駄目だ。ああいう部類はてめえには似合わない」


「待って土方さん。…なんの話…?」



< 373 / 464 >

この作品をシェア

pagetop