浅葱色の約束。
「梓、てめえは残れ」
そんな命令を下しても、鉄之助の袖を離そうとはしないそいつ。
…この野郎。
思わず俺は立ち上がって無理矢理にその手を離させた。
そして鉄之助へと目線で合図を送る。
そそくさと閉じられた扉。
「う、わ…あ…、」
掴んだ腕がだんだんと熱くなって、そいつの顔も真っ赤だ。
少し前からこの調子。
まさかこいつ…鉄之助に惚れてやがるのか?
そんなことを思ったら、どうにも無性に腹が立って仕方ない。
「…あいつはやめとけ」
真っ赤な顔のまま、首を傾げる梓。
俺はそんな仕草に弱いという事が最近になって分かった。
そのときだけは俺を真っ直ぐに見つめてきやがる。
「お前にゃもっと男らしい方がいいんじゃねえか」
「え…?」
「あと大鳥さんも駄目だ。ああいう部類はてめえには似合わない」
「待って土方さん。…なんの話…?」