浅葱色の約束。
「土方さんは…どんな人が好きなの…?」
思わず沈黙が流れた。
パチパチと瞬きをさせながら見つめてくる眼差し。
鈍感っつうのはたまに物凄く質が悪い。
……待て。
さっきから思ったが、こいつ俺の話ばかりをしているような気がする。
俺にばかり質問をしてきやがる。
「…俺の話なんかどうだっていいだろ」
お前は鉄之助の話が知りたいんじゃねえのか。
だからこの機会に聞けばいいものを。
「ど、どうだって良くない…知りたい…」
「何故だ。俺はてめえのことを聞かれるのは好きじゃねえんだよ」
「……そうだよね、…ごめんね土方さん」
しゅんと肩を落とした梓。
どうして俺の顔色ばかりを伺うようなことをしてんだこいつは。
「…まぁでも、そうだな。大人で髪の長い、女らしい奴が好きだ」
だから俺は少し、試した。
そいつの反応を見るが為に真逆なことを言ってみた。
その顔色だけで全てが分かるはず。
それでも俺はそいつにそんな顔をさせてまでも、「悲しめ」と思っていた。
「…そう…なんだ…。そうだよね……多恵さんも…、そうだった……」
今にも泣きそうな顔をした梓は。
無理に笑っているからなのか、慣れないことをしているからか、その唇は既に震えている。
「───…お前……」
こいつが惚れてるのは鉄之助なんかじゃなかった。