浅葱色の約束。
今まで何人も仲間が死んでいく様をこの目で見届けてきたはずだろう。
最後は必ず俺の名前を呼んで、俺もいつもそれを聞いて。
どうしようもない葛藤と絶望、それでもそんな命を全部背負ってそいつらの分まで戦ってきた。
なのに俺は。
お前の声は、聞いてない。
一番聞かなきゃならないお前の声を。
「土方君…!君が声をかけてやれば意識が戻るかもしれない…!!」
お前は呼んでたんじゃねえのか。
あの日みたいに俺の助けを求めてたんじゃねえのか。
てめえが俺を呼んでたってのに、気づかなかったのは俺じゃねえのか。
───…俺がお前の手を掴まなかったのか…?
「土方君…ッ!!!」
ドガッ───…!!
言葉を発しない俺へと拳が飛んでくる。
避けることも出来ないで惨めに食らうと、目の前に俺を信じて懸命に銃弾を届けようと走る女の姿が一瞬見えた。
「君が一番に信じてやらなくてどうするんだ…!!」
大鳥 圭介はここまで声を上げることが出来るのか。
そんな顔も出来るのか、あんた。
いつもヘラヘラと笑ってる男だと思っていたってのに。
「手荒な真似をしてすまない土方君。
それでも、そんな君を見て一番に悲しむのは僕じゃないだろう」
───そうだ。
こいつは、こんなくらいで死ぬような女じゃない。
俺の後ろを走っているように見えて、こいつはいつだって俺の前を走っていた。
俺達の前を。
掴めそうで掴めない───…まるで水平線のようだった。
いつか消えちまいそうで、それでも気付けばお前はいつも俺の手を握ってくれる。
それは俺が一番に知ってるはずだろう。