浅葱色の約束。




「土方君、…“彼女”はいつだって、どんなときだって君を信じて追いかけるんだ。
この仕事を僕が言い渡したとき、時折君はどんな顔をしたと思う?……笑ったんだよ。」


「───…笑った…?」


「あぁ。怖いとか、行きたくないとか、そうじゃない。君の隣に向かえることを何よりも喜んでいたんだ。
僕の目にはいつもそんなふうに見えているよ」



大鳥さんは俺に近付いて、俺にしか聞こえない声で言う。

分かったようなこと言いやがって。

そんな憎たらしい笑い方すんのは俺の人生で2人目だぞ。



『土方さんおかえりなさい…!』


『あのね土方さんっ』



目を閉じるとそいつは俺に真っ直ぐ手を伸ばしてくれる。

掴んでやれるのはもう俺しか居ねえんだ。



「…ったく、鬼の副長がこれじゃあ笑っちまうぜ」



横たわるそいつの元へ向かう。

他の兵士には見えぬよう、左足から流れる血を応急処置程度に止血した。



「すまなかった大鳥さん、すぐに俺の部屋へ運んでくれ。こいつのことは俺に任せろ」


「あぁ!───土方君っ!!時折君が少し動いたぞ…!」


「当たり前だ。…そう簡単に戻して堪るかってんだよ」



お前の命は俺のモンだろうが。

勝手に居なくなるなんざなめた真似してんじゃねえ。

地獄の底だろうが、てめえが本来居るべき場所だろうが。


俺は必ずお前をこの手で引き摺り出してやる。



「すごいな、君達の絆は」


「俺達ゃそんな大層綺麗なモンじゃねえさ。こいつが死ねば俺だって死ぬ。…ただそれだけだ」



やっと掴めたんだ。

もう離さねえって決めたんだよ。



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