浅葱色の約束。
小鳥の囀ずり、2段ベッドの下の階。
ちょっとだけ窮屈なサイズの上で目を覚ますと、そこは見覚えのある場所だった。
勉強机が2つ並べられており、上の階で寝る女の子は記憶の中よりも少しだけ雰囲気が違う。
ハンガーにかけられた制服も見たことがなかった。
「……わたし…、」
ああ、違う。
この町の公立高校の制服だ。
この施設で育った者は皆その高校へ行くから、そんなブレザーも上の者からのおさがり。
「梓、私今日体育で水泳なんだけど水着乾いてないのよね。貸りてくわ」
「…うん」
「……あんた、いつも返事なんかしないのに。頭でも打ったの?」
返事を…しない?
そうだっけ…。
私はいつも男ばかりの場所にいて、返事をすることが当たり前で───…
あれ……?
「こんなに…髪、長かった…?」
鏡に映るその姿に思わず首を傾げた。
「坂本 龍馬なり勝 海舟なり、たくさんの偉人が出るわけで。───それが幕末だ。」