浅葱色の約束。
高校に通って、誰とも話すことなく1日が終わって。
話したとしても義務的なことばかりで、まっすぐ施設へと帰る。
自分の生きている人生はそんなものだった。
もう高校3年生にまでなっていたんだ……。
変な感覚ばかりがする。
おかしい日だ、とても変な日。
帰宅途中に見た夕焼けが綺麗だったとか、道端に咲いている花が力強く見えたり、川のせせらぎに耳を澄ませたり。
こんなこと、1度もしたことが無かったのに。
「んで、ついでに言うとこの時期に丁度戊辰戦争があってな」
「せんせー。そこで───は終わったんですか?」
「まぁ───かな。明治維新ってのは見るものによっちゃあ残酷だったってことだ」
「───からすれば確かにふざけんなって感じっすよね」
記憶がかさむ。
音がノイズを交えたようによく聞こえない。
『───梓、』
記憶の中で呼ぶ声がする。
私を呼ぶ声。
低くて、乱暴な、声。
それでいてとてもやさしい声。