浅葱色の約束。
ねぇお母さん。
私が生まれたとき、なにを感じたの…?
なにを思ったの…?
あなたは近々その赤子をポストへ入れるんだよ。
それなのにどうしてあなたは、そんなにも愛しいものを見る目をしているの。
「───…かわいい…」
初めまして、梓ちゃん。
ママだよ。
ずっとあなたに会いたかったの。
ごめんね梓ちゃん。
ごめんね、ごめんね───…
「……ごめん…ね…っ、」
その人は、娘との別れを最初からわかっていたように腕に抱きながら泣くから。
その赤ちゃんも母親が泣いているから「どうしたの?」と、言うみたいに。
おぎゃぁぁぁと、部屋に響いた。
泣かないで、お母さん。
可愛いって言ってくれただけで、それだけで十分なんだよ。
お母さんは私を恨んでなんか無かった。
だって、
そんなにも幸せそうな顔をしてるから。
「…梓ちゃん、」
その小さな手を握る。
母親は笑って、その子にだけ聞こえるように。