浅葱色の約束。
土方side




あれから、5日───。


“べっど”という南蛮から取り入れられた高さのある布団の上で目を閉じる少女は、今日もその目を開けない。



「土方君もいい加減休んだ方がいい」


「こんなモンには慣れてる」


「でも…」


「傍に、居てやりてえんだ」



水の入った桶を傍らに置き、大鳥さんは言葉を飲み込むように出て行った。


こんなときくらい傍に居てやりたい。

今までずっと走り抜けてきた。

仲間の死を見せて、それでも俺はそいつに“ついてこい”と言って。


こうしてゆっくり傍にいたことなどあっただろうか。


新撰組に居たときだって。

土方さん土方さんと、そう言って必死に追いかけてきた。

年相応の暮らしもさせてやれないで、いつだってこいつは傷付いてばかりで。


怪我して戻るわ、刀に自ら向かって行くわ、池田屋に居るわ。



「…ちったぁ甘えろってんだよ」



十分甘えてるんだよ───。


お前はきっと、そう言うんだろうな。



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