浅葱色の約束。




「“生きてる”というより、“生きてた”と言った方が正しいかもしれません。
時折さんは一体、なにを見てきたんでしょうか」



その答えは俺だって分からない。

それでもあいつが俺達と違うものを見てきたということは確かで。


だが1つ言えるのは。



「あいつが本来居た場所じゃなく俺の勝手で、それでもあいつに傍に居てほしいと願うことは───…最低だと思うか?」



鉄之助は目を見開く。

土方さんはそんな顔もするんですね…と、言いたげに。


それはどちらかの我が儘でしかない。

少女をこの場所に留めとく理由など無いのに、そしてまた少女だってここに居なければいけない理由もない。


それでも願ってしまう。


愛情というものは、時として時間をも狂わせる。



「…いえ。俺は最低だとは思いません。だって…、時折さん。
あなたを見つめているとき、───…とても綺麗なんです」



きれい……。

それは心が、見た目が、全てが。


「綺麗」


その2文字にしたこの青年の言葉を、俺はどうしてか納得していた。


こいつは綺麗だ。

とても、きれいなんだ。



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