浅葱色の約束。




「私のお母さんはね、…髪が長かったんだよ」



こうして「母」の話を誰かに出来るときが来るなんて、過去の私が見たらきっとびっくりするね。

その話を一番最初にしたのが土方 歳三だということも。



「…だから私も戦が終わったら伸ばそうかなぁ」



戦が、終わったら。


それが指し示す「終わり」とは何なのだろう。



「土方さん、全部終わったら……江戸に行こうよ」


「江戸?京じゃなくてか」


「…うん。それで、近藤さんと沖田さんに会いに行こう」



雪の降る夜。


窓の外はしんしんと白い天使が降り注ぎ、私はずっとそんなものを見つめながら土方さんとたくさんの話をした。

昔の土方さんがとても女たらしだと言う話も。


そう言えば「てめえって奴はこの状況で他の女の話までしやがる」と、ため息を吐くように笑って。



「それに、気付いたら土方さんの息子になってたね…」


「……悪かった」


「ううん。…逆に良かったんだよ」



土方さんのお姉さんに家族のことを教えてもらった。

私はあの人の言葉に今まで何度も助けられてきた。



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