浅葱色の約束。
「私、土方さんのお姉さんみたいな人になりたい」
「やめとけ」
「ええ、どうして」
「複雑だろうが。俺が」
その日の夜は戦を一瞬でも忘れてしまうくらいにいっぱい笑って、その分いっぱい泣いて。
土方さんはずっと抱き締めてくれたまま、
私が1つ1つ話す言葉をしっかりと聞いてくれていた。
「てめえが誰かと所帯を持ってさえしてくれれば……俺は安心なんだがな」
もう何時か分からない。
寝ては起きてを繰り返して、それで土方さんがちゃんと居てくれるかを確認して。
まだ夜は深い時間帯だろう。
静かな月の光が彼を射す。
「…残酷なこと、言うんだね」
もう寝ぼけているから。
だから少しだけ責めたくなった。
土方さんも独り言のようにポツリと言った言葉に、まさか返事をされるとは思っていなかったらしい。
少しの沈黙が流れた。
「…私は…そういうの、要らないよ」
「…近藤さんが泣くぞ」
「だって土方さんがいるから。私は…土方さんと居られればそれでいい、…ずっと子供でいい…」