浅葱色の約束。




家族なんて要らないって思ってた。

もし子供が生まれたとしても、自分も母親と同じことをしてしまうんじゃないかって。

だってわたし、愛情がどういうものか知らなかったから。



「お前は…、年上にしとけよ」


「年上…?」


「つっても、結構年上でいい。総司以上近藤さん未満…だな」


「……うん」



でもそれは案外すごく簡単なもので。


傍にいてほしい、あなたと一緒にいたい。
行かないで、ありがとう、ごめんね。

そんな言葉をちゃんと伝えればいいのだ。


それが───愛情。


抱きしめたり、手を握ったり。

お互いの体温で誰かの心を温めてあげるの。

でもいつか、もし私が心に決めた人と家族になりたいって思ったら。



「…プロポーズ…とか、憧れるなぁ」


「ぷろ、ぽおず…?…なんだそれは」


「…愛の告白の言葉というか、夫婦になる前にね、男の人が女の人に言う言葉…?
ふふっ…よく分かんない」


「……お前はなんて言ってほしいんだよ、そのぷろぽおずとやらは」



これだけはずっと決めてた言葉があった。


ドラマとかそういうのでよく言われるやつじゃなくて。

もっと、私が一番欲しかったもの。

すごくシンプルで、私がずっとずっと憧れていたもの。



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