浅葱色の約束。




「…行って来い」



『俺についてこれるか』

『俺と共に来い』


今までと違ったのは、彼から私の手を初めて離したこと。

少し心に違和感はあったけど、それでも外の青さに負けてしまって。


彼の、土方さんの誰よりも不器用な守り方を何ひとつ理解していなくて。



「梓、」



ドアが閉じる瞬間、振り返った私は土方 歳三の最後の顔を見る。




「───…幸せになれ。」




そう呟いたその人を。


そこで戻っていたならば、きっと私は彼の傍に今でも居たのに。

どうして気持ちを伝えられなかったのだろう。

どうして気づいたときにはいつも遅いんだろう。


それだけが心残りとなって。


私は、あなたの姿を今日のこの日以来、



見ることは無かった───…。



< 420 / 464 >

この作品をシェア

pagetop