浅葱色の約束。
最期の戦
「あぁ、君が時折さんだね。待っていたよ」
優しそうなご主人は、私が名前を言わなくても察したように快く挨拶をしてくれた。
土方さんが言っていた通り、ここは蝦夷より暖かい。
それに商店街も栄えていて、海で採れたたくさんの幸が売られ、繁盛している町。
「少し歩くけど大丈夫かい?」
「はい!」
「はは、土方さんの言っていた通り素直で可愛らしい子だ」
ご主人に連れて来られた場所は、商店街から少し離れた自然の多い住宅街。
小川や桜の木、大きな原っぱ。
過ごしやすそうな和花な風景の広がる場所だ。
すれ違う老夫婦や子連れの若夫婦、みんな通る度に挨拶をしてくれる。
「もう少しで到着するよ」
「はいっ」
人も町もとてもあったかい。
でもどうしてこんな場所にお使いを頼んだのだろう。
それだけが気がかりだった。
ご主人に内容を聞いても、それだけはどうにか濁して教えてくれない。
「到着すれば分かるから」と、そう言って誤魔化されてしまう。