浅葱色の約束。
土方side




明日、俺は五稜郭にて指揮を務める。


死に場所という言い方はあまりしたくねえが、俺の最期の戦になるだろう。



「失礼します。お茶をお持ちしました」


「入れ」



鉄之助は俺の座る机に湯飲みを置く。

それを静かに啜る様子を冷や汗を滴ながら見つめる姿に、思わず鼻で笑った。



「普通だ」



不味いっつってもどうせお前しか今は小姓が居ねえんだ。

だったら自分の為にもそう言っといた方がいいだろう。


これは、優しさだ。



「…随分と静かになってしまいましたね」



瞼の裏に思い返している存在はきっと俺と同じ。

あいつは意外にも感情表現の激しいやつだった。


笑ったり泣いたりからかったり。


それでも俺は、泣かせた回数の方が多かったように思う。



「…まだ仕事が残ってんだ。悪ぃが外してくれ」



引き出しの2番目。

1番目はあまり大切なものは入れないようにしていた。



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