浅葱色の約束。
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拝啓、土方 歳三 様。



土方さん、元気にしていますか。


初めてあなたに書いたこのお手紙が、ちゃんと届いてくれていたらいいなぁと願っています。

そもそもお手紙を誰かに書くことも初めてで、少しだけ文字が震えちゃうけど許してください。


諦めず最後まで読んでほしいです。



「鬼か俺は。確かにへったくそだけどよ」



私は今、土方さんが用意してくれた素晴らしい町とお家に住んでいます。

着物の着付け方も近所の方々に教えてもらって、なんとか1人で出来るようになりました。

そういえば、初めて浴衣を着付けてくれたのは土方さんでしたね。


あのときは醜いものを見せてしまってごめんなさい。



「ったく…、こいつは」



生きているのか死んでいるのか分からない中で、私はあなた達に出会いました。


それでも新撰組は、あの場所は。
いつからか私の帰る家になっていました。

子供だった私は、友達と遊んだ帰り道。


『またね』と言って屯所に帰る、そんな毎日がとても幸せでした。


友達も、初めて出来たのはこの時代に来てからでした。



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