浅葱色の約束。




信じられないかもしれませんが、私が生まれた時代は、土方さんが生きた時代ではありません。


少し先の未来から来ました。



「……とっくに知ってんだよ」



それなのに私はこの時代のことはろくに知らず、助けてもらってばかりで教えられることばかりで。

いつも、貰ってばかりで。


そして私が生まれた時代には私の親はいません。

それは昔に話したよね。


だから、誰かに頭を撫でてもらったり褒めてもらったり。

笑いあったり、時には叱ってくれたり。

そういうものを初めて経験したのは、あなた達に出会ってからでした。


ぜんぶ、初めてだったんだよ。


だから私は失うことが凄く怖かった。

土方さんにお使いを頼まれてこの町に連れて来られたとき、私はあなたのことを『嘘つき』だと言ってしまいました。


今なら分かるのです。


あなたは約束を守ってくれた。

『私だけは守る』という約束を守ってくれたんだって。


きっと私のお母さんも同じだったんじゃないかなって。

捨てたんじゃない、守ってくれたんだって。

そう思えるようになったのは、紛れもなくあなたのおかげです。


嘘つきなんて言って、ごめんなさい。



「…謝るのは俺の方だろうが」



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