浅葱色の約束。




───なんとか五稜郭は守りきり、その日の戦も終わりを迎えた。


まさか生き残っちまうたぁ、誰が望んだんだ。

俺か?お前か?あるいは両方か。


でも、最期の最後で俺はてめえに助けられたみたいだ。



「土方君」



駆け付けた大鳥さんは、怪我人だらけの拠点の真ん中で俺の前に1つの封を差し出した。

あえて周りの兵士達にも聞こえるように、この男にしては大きな声だった。



「君に、…この軍からの離脱を命ずる」



ざわめく兵士達。


なんとか新政府軍から撒いたのに何故だ、と口を揃えて何人もの部下達は言うが。

それでも大鳥 圭介は耳にも入っていない様子で真っ直ぐに俺を見つめる。



「君の戦い方は荒すぎると前から批判があったんだ。…これは命令だ、土方君」



総司もそうだったが、嘘が下手すぎるのだ。

こういう人種は皆そうなのか?と疑う程。



「…いずれこの軍はもう降伏するだろう。
土方君。───僕の中の君を、1人の女を選んだ誠の武士として終わらせてはくれないか」



耳元で静かに笑った大鳥さんは、俺の掌にずっと探していた青い玉を握らせた。



< 440 / 464 >

この作品をシェア

pagetop