浅葱色の約束。
「…ったく、あんたって人は。どこまでお人好しなんだよ」
俺は静かに頷いて、受け取る。
そんな指揮官を見た部下達は皆して目を見開いて。
「何故ですか…!土方さん!」
「俺はあなたについていきますよ…!!」
近藤さんもこんな気持ちだったのか。
そりゃ、かなり辛いわな。
そんな姿があの日の女に重なって、俺はふっと微笑んだ。
「俺にはもう、戦う理由が無いんだよ」
それを悪と捉えるか善と捉えるか。
それはこいつらの勝手だ。
それ以上もそれ以下も無く、愛馬を一撫でしてから背中を向けた。
「───土方君!!」
大鳥さんの声に足を止めるまでもなく。
「僕もこの戦からいずれ身を引くだろう…!そのときは必ず君に会いに行くから…!
だから君の奥さんに“また”会わせてくれよーーー!!」
そんな声に、俺は右手の拳を空へと上げる。
目を見開いた兵士たちは、
「土方さん結婚してたのか…!?」
と、先程よりもどよめきが大きくなった。