浅葱色の約束。
私がちゃんと言葉で伝えられていたら、きっと分かり合えてた。
そう思えるようになったんだよ土方さん。
「だいぶ遅くなっちゃった…」
お魚屋さんのおじさんと長話し過ぎちゃったみたい…。
私に良い相手はいるの、とか
居なかったら家のバカ息子はどうだい、とか。
全部苦笑いで何とか乗りきったけど、最近そういう話題を持ち出してくる近所の人々が増えた。
たぶん私がこのまま1人で婚期を逃さないようにする為に。
気、遣わせちゃってる。
『梓ちゃん可愛いんだから勿体無いよ!』
『狙ってる男なんかわんさか居るんだから!』
そうは言われても私だって幸せになりたいのだ。
…好きな人と。
「…早くしないと貰われちゃうよ土方さん」
19歳になっちゃったよ、私。
この時代だと丁度婚期なんだって。
これを過ぎたら売れ残り。
それに、この土地の女性は特に早いらしくてね。
だからこそ子供達もたくさん居るのかな。
「でもちょっと厳しすぎると思うなぁ」
このままずっとずっと待ってたら私、お婆ちゃんになっちゃうよ。
なんて…、空に呟いてみる。
「いま思い出すとあの手紙…やっぱり恥ずかしかったかも…」