浅葱色の約束。
気持ちをつらつらと書いて、最後にはとびきりの告白。
すごく、私らしくない。
だけど後悔はしてない。
きっと彼は読んでくれたと思うから。
それでも土方さんからは1度も言われなかったような言葉ばかりだった。
「愛してる」までは言わなくていいから、せめて「好き」とか。
「ふふっ、…あり得ないよ」
土方さんはそういうの、言うような人じゃないってことは私が一番に知ってる。
でも…。
『俺がもし所帯を持つとしたら、
───…そいつとしか考えられねえって女が』
「言われてみたかったなぁ…」
あのときは私を見てくれていたけど、私かなんて分からない。
もしかしたら違う可能性の方が高いかもしれない。
急に抱き締めてきたり、腕を掴まれたり、私にはそんなのばかりだった。
彼は、そういう人だった。
それに私は彼の好きなタイプとは正反対で。
だからこそ、今の姿で隣を歩いてみたかった。
「いけない、早く帰らなきゃ。お洗濯もの干してたんだった!」
でも彼にはたくさんのものをもらった。
これ以上貪欲になってどうするの。
もう、十分だ。
コロコロコロ───…。
夕暮れ時の空の下、川のせせらぎが聞こえる小道で。
少し小走りで家路を辿る私の少し前。
坂でも急斜面でもないその場所に、見覚えのあるビー玉が転がってくる。
「…なん…で…、」
その玉がどこかへ行ってしまわないように、お魚が入ったカゴを地面に落としてまでも追いかけた。
ごめんなさいお魚さん、お魚屋さんのおじさん。