浅葱色の約束。
彼の意図が分かって、クスクス笑ってしまった。
ばつの悪そうな目が合わさると、どうにもからかいたくなってしまう。
「ふふっ、今は複雑…?娘さんを俺にください───…って」
そんな会話も空の上にいる“父”が聞いてくれているといいなぁ。
お父さん、土方さんを連れて来たよ。
「…お前、冗談抜きでだんだん姉貴に似てきやがった」
間違ってはねえけどな───と、付け足して土方さんも手を合わせる。
彼は今、父にどんな話を聞かせているのだろう。
次は……。
土方さんは京に居た頃以来、彼には会っていない。
「久しぶりだね。…沖田さん、朔太郎」
浅葱色をした首飾りが目印の墓前に立ち止まると。
彼は少し、じっと見つめた。
「…遅くなって悪ぃな、総司」
色々あってよ、本当に色々あったんだ。
長い話はいつもてめえは嫌いだったけど、
こんな時ぐらい語らせてくれよ───。
「…てめえらの分まで必ず、幸せにする」
その“てめえらの分”って、誰の分…?
それは、今は聞かないことにしよう。