浅葱色の約束。
この人は私の素性を聞いたことは1度もなかった。
ただ近藤さんが受け入れたから認めただけ。
そんなものまるで気にもしない、興味が無い人なんだと思ってたのに。
「───っ!」
ガッと両肩を掴まれてしまえば、驚きの余り一瞬言葉が出なかった。
この人は私が未来から来たということを知らない。
今までどんな育ちをしてどんなふうに扱われてきたのか、なにも知らない。
「…親か?」
「…親は……ずっと居ない」
ねぇ土方さん。
どうしてそんな顔をしているの。
鬼の副長らしくない、とても同情に溢れた眼差しだった。
それでもその中に怒りのようなものを含んでいるようにも思えた。
「…いつから居ねえんだ」
なにをこの人が思っているのか、よくわからない。
そんな瞳を逸らすことしか私には出来なかった。真っ直ぐに見れなかった。
───だってこの人は、綺麗だ。
「要らない赤ちゃんを郵便物みたいに届ける場所があるの。…私の親は私をそこに投函したんだって」
あれ、なにを言ってるんだろう。