浅葱色の約束。




「おいおい、まだ到着すらしてねーじゃん!」


「濡れる前に戻ろう。平助、梓、走れる?」



こりゃ中止やなぁ───町の人は声を上げて帰っていく中、子供達は泣き出してしまった。

藤堂さんも腑に落ちない様子でため息を1つ、それでも雨に出来るだけ濡れないように沖田さんの後に続いた。



「梓!お前も早く来いって!」


「ま、待って…」



下駄が石に躓いて、グラッと前のめり。



「わっ、」



グシャッ───!!!


皆通りすぎる中で豪快に転んだ私に、沖田さんも藤堂さんも再び戻ってきた。

土が水を含んで泥になり、そこに綺麗に転んでしまった。



「邪魔やわ少年!」


「俺にも泥が飛んで来はったぞ!」



暴言を吐く大人を藤堂さんは睨むけれど、今は新撰組ではなく普通の町人。


刀だって差してはいない。


それがわかると彼等は素早く頭を下げ、そして1人は私の腕を掴んだ。



< 50 / 464 >

この作品をシェア

pagetop