浅葱色の約束。
「おいおい、まだ到着すらしてねーじゃん!」
「濡れる前に戻ろう。平助、梓、走れる?」
こりゃ中止やなぁ───町の人は声を上げて帰っていく中、子供達は泣き出してしまった。
藤堂さんも腑に落ちない様子でため息を1つ、それでも雨に出来るだけ濡れないように沖田さんの後に続いた。
「梓!お前も早く来いって!」
「ま、待って…」
下駄が石に躓いて、グラッと前のめり。
「わっ、」
グシャッ───!!!
皆通りすぎる中で豪快に転んだ私に、沖田さんも藤堂さんも再び戻ってきた。
土が水を含んで泥になり、そこに綺麗に転んでしまった。
「邪魔やわ少年!」
「俺にも泥が飛んで来はったぞ!」
暴言を吐く大人を藤堂さんは睨むけれど、今は新撰組ではなく普通の町人。
刀だって差してはいない。
それがわかると彼等は素早く頭を下げ、そして1人は私の腕を掴んだ。