浅葱色の約束。
不思議な子だと思う。
そもそもどういう経緯で近藤さんと知り合ったのかすらも知らないし、土方さんだって話そうとしない。
この子はどこ出身なのか、標準語だから京の子では無いのは確か。
「こんなのあるんだ。びいどろとはちょっと違うね」
「びいどろ…?」
「うん。ふふ、逆にそれ知らない方が珍しいんだけどなぁ」
そして何よりいつも梓は色んなものを見つめるとき、初めて見る顔をするのだ。
まるで見たことない世界を見つめる子みたいに。
だけど今、青い玉を見つめる瞳はそうではない。
懐かしいものを見る、そんな眼差しで。
「───…きれい…」
あ、また笑った。
平助なんかは「あいつは笑わない」なんて言ってたけど、これは僕だけが知ってるもの。
この子は案外笑うんだ。
すぐに戻っちゃうけど。
ぎこちなく、ゆっくりと笑う。