浅葱色の約束。
夏が終わって秋が始まって、その秋も通りすぎると冬がくる。
季節の移り変わりを気にしたことは無かったが、この時代はそんなありふれた時間の流れさえも貴重に感じさせてくれた。
初冬の風が髪を撫でる───そんなある日のこと。
「そーじー!なぁそーじー!」
門の前で1人の少年が、何度もその名前を呼んでいた。
無視を決め込もうかと迷ったが、たまたま通りかかった時にバチッと目が合ってしまっては。
「あんた、新撰組の人?そーじ呼んでくれへん?」
「…今は巡察…」
「はぁ?聞こえへんで!男なら腹から声出してみぃ!」
「じゅ、巡察…!」
「ああ、そうやったんか」
なにこの人…私より年下なはずなのに、なんか生意気。
そんな少年はトタトタと断りもなく敷地内へ入ってくると、私にあるものを差し出した。
「これ、妹からだって言ってそーじに渡しといて。中身見たら許さへんで」
「…うん」
「それにしてもお前見ーひん顔やな、新入りか?」