浅葱色の約束。
ワシャワシャと髪をグシャグシャにされるがまま。
子犬の戯れにも見えるその光景を、通りすがり様に見た井上(いのうえ)さんは優しく微笑んでいた。
土方さんに見つかったら怒られてしまうのに。
この人、全然帰ろうとしない…。
「お前名前はなんて言うん?俺は朔太郎(さくたろう)」
「ぼ、ぼくは、」
「梓。」
巡察帰り、浅葱色のだんだら模様を羽織った沖田 総司は鉢金を外しながら近付いてきた。
「何してるのそんなところで」
「これ、朔太郎から…」
「…朔太郎、ね」
沖田さんの前に風呂敷を渡す。
「ありがとう」と言って、朔太郎と私を見下ろした。
「わ、金平糖だ。咲(さき)ちゃんにお礼言っといてよ朔」
「咲ってば最近そーじが遊びに来ーひんって全然元気あらへんねん」
「最近なにかと色々忙しくてさ。ごめん」