浅葱色の約束。
じゃあ私はそろそろ退散しようかな…。
背中を向けようとすれば、ガッシリと掴まれた腕に再びクルッと向き直されてしまって。
「ええよ!その代わり俺、面白いもん見つけたし!」
「お、面白いって…」
「いい加減笑ったらどうなんや!お前の表情筋は皆無か!」
朔太郎の伸びてきた両手が、びよーんと両頬を容赦なく引っ張る。
「い、いひゃい…」
「ははっ!ぶっさいくな顔やなー」
むにっと伸ばされて微かな痛み。
それでも今までとやっぱりどこか違う。
だけどそんな手を掴んで離したのは沖田さんだった。
「朔、手荒な真似は良くない」
「つっても、こいつ本当に男なんか?女みたいに白っこいし柔らかいやん」
「能ある鷹は爪を隠すって言うだろう?この子は新撰組の秘密兵器なんだよ」
「確かに局長の小姓だって言ってたしな…」
そんな変なこと吹き込まないでほしい。
変に期待されたら困るのに。
秘密兵器でも何でもない。
どちらかと言うと厄介者だ。
いざというときに足手まといになってしまうような、多分そんなところ。