浅葱色の約束。
「じゃーな!梓、やっけ。明日から来るんやで!待ってんで!」
朔太郎が去って行くと、さっそく沖田さんはその内容が気になるようだった。
神社に誘われたこと、それを話すと彼は顎に手を当てて考える仕草。
「確かに明日から近藤さんは大坂に出張だけど…」
近藤さんは明日から数日間、隊士を引き連れて大阪へと向かう。
私も小姓として普通なら同行しなければいけないはずなのだが、近藤さんは危ないからと言って屯所にお留守番を命じた。
だから明日から1人で過ごす時間が多くなる。
だとしてもまるで行ってはいけない理由でもあるのか、沖田さんは珍しく眉間を寄せていた。
「いいんじゃねえか、行ってこいよ。それくらいなら許可する」
そんな彼の代わりに許可を下したのは珍しくも副長。
「近藤さんもてめえにゃ何か出来ねえか考えてたからな。安心するだろうよ」
土方さんも先日から出張へと出ていたが、昨日帰宅して今日は休養の為あまり姿を出さなかった。
いつから聞いていたんだろう。
冬の風が吹くと、「寒ぃ」と一言落として私達の前に立った。
「但し、暗くなる前には帰って来い」
なんか土方さん…お母さんみたい。
でも、お父さんにも見えるかも。
でもやっぱり土方さんは土方さんって感じかなぁ。
女の人みたいに綺麗だけど、それでもこの人は違う意味ですごく綺麗。
新撰組がどういう組織かまだわからない。
それでも私は、この場所がだんだん好きになっていた。