浅葱色の約束。




いつか迎えにきてね、ずっと待ってるよ。

お母さん、元気ですか───。


顔すらわからない親へと当てた手紙なんか何の意味を持つというのか。

だから私はそれを1度も書いたことがなかった。

園長先生に怒られたって、そんなのどうでもよかった。


いや本当はそうして怒られることが嬉しかったのかもしれないな…と今なら思う。



「今日は早く終わった…」



ピリピリと痛む頬をさすって、いつもよりは酷くなかったとため息を吐いた。


何をしても反応しない、まるで人形みたいだ。


そんな噂が学校中に広まれば、生徒達のストレスの対象はいつだって私だった。

殴られ、蹴られ。

施設育ちだとわかれば容赦なんかない。



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