浅葱色の約束。
土方side




それからほぼ毎日、そいつは日中屯所を出て行った。


ちゃんと自分の仕事はサボることなく続けているし、そんな少女を見て近藤さんもどこか嬉しそうだった。

毎日出掛けていく度に少し変わって帰ってくる少女。


それは明らかに良い方向へと変化している。



「あいつさぁ、最近変わったよな。前はずーっと仏頂面だったのにさ」



平助は膳を運びながら定位置へ座ると、まだ姿を表さない近藤さんの隣を見つめた。



「でもまだ笑ったとこ見てないんだよなぁ」



そう言って、襖の先からヒラヒラ落ちてきた桜の花びらを掴む平助。


毎日泥だらけで何をして遊んでいるのかわからねえが。

いつか、全身についた傷を見せて笑うことも悲しむこともしないで淡々と俺を見た子供とは大違いだった。



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