浅葱色の約束。
チラッと山崎は少女を見つめて微笑んだ。
「極秘の隊士が局長の小姓になったと聞いたので、かなりすごい人が入ったと思っていたのですが…」
そして、近藤の後ろに隠れる小さな隊士へと近付いて目線を合わせる。
「また随分と可愛らしい隊士ですね」
もう大丈夫だよ───。
そう言って、細い腕の中に雀を戻す山崎。
さすが監察方の男だ。
一目見ただけで相手がどういう人間かを判断出来るらしい。
こいつは梓が女だと気付いた。
「梓、だったな。この子の面倒を頼んだぞ」
コクンと梓の頷きに被せるように、チュンチュンとお礼にも似た鳴き声が部屋に響き、命の生還に誰もが目を輝かせた。
腕の中で懸命に羽ばたこうとしている。
「がんばれ、がんばれ」
少女のつぶやきに、近藤さんは瞳を和らげた。
「あ…!」
一瞬だけ雀は宙を浮く。
けれどすぐに腕の中に収まってしまった。
「───飛んだ…!あははっ、飛んだよ!」
果物の弾ける音が初めて部屋に響いた。
こんなふうに笑う子だったのかと、誰もが梓を見つめる。
こんなにも楽しそうに嬉しそうに笑う少女は俺も知らなかった。