浅葱色の約束。




「…ったく、───来い。」



土方さんのため息は肯定の合図。

細く震える白い腕を取って、部屋を出ていく
2つの背中。



「おいおい本当にお前、土方さんの息子だったのかよ…」


「嘘に決まってるでしょ」


「はぁ!?嘘!?」


「今までも何度かあったけど、いつも都合の良い言い訳で逃げてきたような人だよ?」



沖田さんは呆れるように鼻で笑った。


沖田さんと土方さんはずっと昔からの知り合いだと聞いたことがあった。

だからこそお互い何でも知っている、そんな関係に見える。


嘘だとはわかっていたが、「父さん」と言って「土方梓」と名乗って。


どうしてかそれがとても温かくて嬉しい、そんな感情が生まれて。



「梓も災難だったね。土方さんは毎回ああいう人だからさ」



ううん、沖田さん。

災難なんかじゃなかった。

確かに複雑だったけど、知らない嬉しさをたくさん知れた。


「時折」という姓は私の本当の姓ではなくて、ずっとそんな苗字が嫌いで。

今までずっと自分の存在がわからなかった。


私はいったい誰なの───…?



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