浅葱色の約束。
「あんた、ちゃんとこの子に食べさせてやってんだろうね」
「当たり前だろ。必ず米はお代わりさせてる」
「あら!この袴は総司のお下がりじゃないの!」
「はい。ちょうど寸法も合ってたので」
「近藤さんも水くさい!そうならそうと知らせてくれたらいいのに!」
「はは、すみませんなぁ。中々忙しかったもので…」
コロコロと表情が変わって優しく笑う人。
さっきまでのピリピリとした空気感は、いつの間にか消えていて。
手土産だという沢庵を土方さんに渡し、安心した様子で立ち上がった。
「もう帰るのか?」
「ええ。元気そうにやってるとこが見れたし十分」
「姉貴らしいな。ゆっくりしてけっつっても聞きやしねえ」
「あたしだって忙しいのよ。そもそも誰のせいでこうなったと思ってんのよ」
「町まで送ってく」
土方さんを払いのけると、その先にいた私へと。
「可愛い甥っ子に送ってもらおうかしらね」
ウィンクを1つしてみせて、その人は屯所を出てゆく。
朔太郎たちと遊んでいたおかげでこの町もだんだんと覚えてきた現在。
町までなら全然1人で行けるから。